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ワークスタイルに関するトレンド紹介記事
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時代とともに変化するオフィス環境。働き方に求められる多様性。
企業価値を高めるために必要な仕組みや、社会課題となっているテーマにフォーカスし、ご紹介します。

個人ワークスタイル

ギグ・エコノミー

個人がインターネット経由で単発の仕事を請け負う「ギグ・エコノミー」。国境を超えた人材活用や副業ワーカーの増加など、その拡大は企業と働き手の関係に大きな影響を与えています。将来的には"一億総フリーランス時代"が到来するかもしれません。ギグ・エコノミーが牽引する新しい働き方と、働き方が多様化する時代に求められるオフィスのあり方を探ります。

UberにAirbnb…。
最近話題のあのサービスに共通することとは?

配車サービスのUber(ウーバー)や宿泊サービスのAirbnb(エアビーアンドビー)など、近年、成長の目覚ましいITプラットフォームには、ある共通点があります。それは、サービスの担い手が個人である、ということ。乗客を希望の地点まで運ぶ、あるいは、宿泊客に部屋を提供することで業務が完結し、対価を得られる仕組みです。インターネット経由で受発注が行われるこうした単発の業務は「ギグ」と呼ばれており、それによって成り立つ経済を指す「ギグ・エコノミー」が注目を浴びています。ちなみに、ギグは音楽業界のスラングが転用されたもので、もとは小さなライブハウスで行われる一夜限りのミュージックセッションを意味します。

ギグ・エコノミーは現在、UberやAirbnbのような個人向けサービスだけでなく、企業のアウトソースニーズに対応した分野にも広がっており、システム開発やホームページデザイン、市場調査など多様な業務を個人が請け負っています。今後ギグ・エコノミーはさらなる拡大が予測されており、2025年には世界の市場規模が37兆円に達するとの試算もあります。

国境を超えて優秀な人材をアサイン。
人的リソースの選択肢が一気に広がる。

ギグ・エコノミーの拡大は、企業にどのような影響を与えるのでしょうか。一つには、国境を超えた人的リソースの活用が挙げられます。欧米では、インドやパキスタンなどITに強い新興国のエンジニアたちに、業務を発注する企業が増えているといいます。また、従来は外注化しづらかった雑務を切り出すことも可能になっています。例えば、メールやスケジュールの管理から子どもの習いごと探しまで、あらゆる雑務を遠隔地にいる個人に代行してもらう秘書サービスが米国では広がっています。

一方、ワーカー目線に立つと、ギグ・エコノミーを通じて空き時間を有効活用するチャンスが広がっています。実際、前述の遠隔秘書サービスの担い手の多くは、家事や育児、介護の合間に業務を行っています。企業に所属しながらギグ・エコノミーを活用して副収入を得る人も増えており、そうした副業フリーランスの数は国内だけでも700万人を超えると推計されています。

まさかの専業禁止!?
加速する副業許可の狙いとは?

一昔前まで国内企業の多くが副業を禁止していましたが、最近その状況に変化が見られます。ワーカーに多様な経験をしてもらいたいと、副業を許可する企業が増えているのです。今までにない発想が生まれることで、生産性向上やイノベーション創出につなげようというのがその狙い。ベンチャーのなかには専業を禁止する企業も存在するほどです。

ワーカーにとっても、副業を許容する動きは歓迎すべきでしょう。会社の収入のみに依存するのではなく自立する手段を持つことは、終身雇用制・年功序列といった昔ながらの制度が崩壊した不確実な世の中を生き抜くための、強力な武器となるからです。他方で、収入を得ることを目的にするのではなく、キャリアアップの手段として"複業"に取り組むパラレル・ワーカーと呼ばれる人も増えています。拡大するギグ・エコノミーがこうした新しい価値観や働き方を後押しすることになるのではないでしょうか。

オンからオフ、オフからオンへ―。
柔軟に切り替わる新しいライフスタイル。

国境を超えた人的リソースの活用や業務アウトソーシングの拡大、ワーカーの副業フリーランス化によるイノベーティブな社内風土づくりなど、ギグ・エコノミーを活用し、受容することは、これから企業が生き残る上で不可欠といえそうです。

それを実現するため、オフィス環境の面からどのようなアプローチが必要なのでしょうか。ヒントになりそうなのが、ABW(Activity Based Working)という概念です。その日の業務やプライベートの予定に合わせて、時間と場所を自由に選択できるようにするもの。ある企業では、副業を解禁するとともに、ABWの概念を取り入れ、コアタイムの廃止やサテライトオフィスの拡充などに取り組むことで、多様な働き方をサポートしています。

早朝にカフェで副業をした後、近所のサテライトオフィスに出社。業務をこなしてから、夕方は自宅に戻って家族と食事。その後、自宅でパソコンを開いて本業の続きをする―。特定の時間や場所に縛られずに仕事をすることが当たり前になれば、オンとオフを柔軟に切り替えるワーカーが増えるでしょう。

しかし、こうした自律分散型の働き方には社内コミュニケーションが減少するデメリットがあり、かえってイノベーションが起こりにくくなることも懸念されます。そのため、時間や場所の選択肢を拡充させるだけでなく、ワーカーが自ずと集いたくなるオフィスづくりも不可欠といえるでしょう。

活発にコミュニケーションできる仕掛けを施したり、集中できる環境を整えたり、ハードとソフトの両面から魅力あるオフィスを追求する。それは、どんな時代にも大切な視点といえるのではないでしょうか。

編集後記 ~ 多様な働き方と変化するライフスタイル ~

今回は「ギグ・エコノミー」をテーマに新しい時代に求められるワークプレイスについて考察しました。日本でも政府が副業・兼業を推進し、大手企業からベンチャー企業まで「副業解禁」の動きが加速しつつあります。ワーカーの求める"働き方"が大きく変化するなかで、そう遠くない未来に"1億総フリーランス"が実現しているかもしれません。

弊社では副業解禁はまだ実施されていませんが、新しい働き方として在宅・テレワーク制度が導入され、私自身もテレワークで、外出先で仕事をする時間が増えました。特に、WORK×PLACE編集部で手がける記事のことを考えるときは、会社が手がけるシェアワークプレイスで仕事をするようにしています。

そこには私と同様テレワーク中の方、スタートアップ企業のメンバー、フリーランスの方とそのお客さまなど...いろんな方がいらっしゃいます。さまざまな働き方の人たちが同じ場所に集まり、それぞれの仕事をしている姿を見ていると「将来この人たちが求めるワークプレイス、"働き方"はどんなものだろうか?」と想像が膨らみ、次回の記事のアイデアになります。

これが会社のデスクだと、真っ白な画面と向き合って半日過ごすこともしばしば...。自分が求める「働き方」もしっかり変化していることを実感した出来事でした。もはやテレワーク制度がなかった頃には戻れません。10年後には「ギグがなかった頃には戻れない!」と言っている私の姿が思い浮かびます。

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