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ワークスタイルに関するトレンド紹介記事
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時代とともに変化するオフィス環境。働き方に求められる多様性。
企業価値を高めるために必要な仕組みや、社会課題となっているテーマにフォーカスし、ご紹介します。

オフィス環境

エシカル

エシカル消費、エシカルファッション、エシカルジュエリー……最近何かとよく目にする「エシカル」というワードは今、世界的なテーマとなっています。「道徳的な」「倫理的な」という意味を持つこの言葉は、企業やワークプレイスのあり方とも無縁ではありません。持続可能な世界の実現に向けて、人や社会、環境にとって「良きこと」が求められる時代に、企業は何をすべきか。時代の潮流の背景と、取り組むべき具体策を紹介します。

消費者もエシカルに、企業もエシカルに。
人、社会、環境にとってgoodなことをしよう!

「エシカル」は英語で書くと「ethical」と表記される、「道徳的な」「倫理的な」という意味を持つ形容詞です。語源である「ethos(エートス)」という言葉には、「ある時代や社会の成員や集団が持つ、他の時代や社会とは明確に区別された、価値観・信念・行動様式」という意味があり、そこから派生したエシカルの意味を端的に説明するなら、「人や社会、地球環境にとって良いモノ、コト」になるでしょう。

「エシカル」と「消費」が組み合わさると、「人と社会、地球環境を考慮して作られたモノを購入する(消費する)」という意味になります。この考え方が今、一般消費者に広く浸透しつつあり、それに伴ってモノをつくる・提供する企業の側も、「エシカル」を意識した活動を推進するようになってきているのです。

さらに、提供するモノだけでなく、企業のあり方自体も「エシカル」かどうか問われています。企業倫理の研究と推進を行う米国の専門機関「Ethisphere Institute(エシスフィア・インスティテュート)」は、2007年から「World's Most Ethical Companies(世界で最もエシカルな企業)」を発表しており、2019年に日本の企業では花王とソニーが選ばれました。顧客に対してだけでなく、自社の従業員、パートナー、地域社会に対しても誠実であり、健全かつ持続可能な企業運営をすることが「エシカルである」と評価されるようになってきているのです。

なぜ今、「エシカル」が求められるのか?
SDGs、ESG投資の世界的な広がりが背景に。

企業に「エシカル」であることが問われるようになった背景には、2015年に国連サミットで採択された「SDGs」への世界的な関心の高まりがあります。SDGsとは2016年〜2030年までを対象期間とした、17のゴール・169のターゲットから構成される「持続可能な世界を実現するための目標」のことです。この流れを受け、最近では企業を投資先と考えた時に従来の財務指標だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の要素を考慮する「ESG投資」の考え方も広がってきました。

この気運は、企業が自身の姿勢や取り組みを見直し、事業活動を改めさせるまでに至っています。例えばメーカーなら、リサイクル可能な製品かどうか、生産拠点の労働者に不当な労働をさせていないかといった問題を考慮しなければなりません。不動産に関する領域でも、サステナビリティやエシカルの視点を意識した開発・運営が求められています。これからの企業は、利潤の追求だけでなく、社会的な問題へのコミットが重要なものとなるのです。

オフィスが「エシカル」であるとはどういう状態?
「健康経営」がオフィスを変える。

では、私たちの働くオフィスが「エシカルである」とは、どのような状態を指すのでしょうか。エシカル消費の観点、つまり企業を消費者と見た場合、例えばリサイクル素材で作られたオフィス家具を使うといった取り組みが挙げられるでしょう。あるいは、施設運営においてCO2排出量を減らす工夫がされていたり、できるだけ廃棄物を出さない循環型の仕組みを備えていたりすることが焦点となりうるのです。

また、企業が従業員に対してエシカルであることを考えた場合、「健康経営」が1つのキーワードになるでしょう。日本では現在、健康経営を取り入れる企業が増えています。健康経営とは、従業員が心身共に健康であることが仕事へのモチベーション・生産性を高めるという考えのもと、従業員の健康を経営の観点で考え、戦略的に実践する取り組みを指します。経済産業省も毎年「健康経営銘柄」を選定するなど企業の健康経営への取り組みを推奨しています。具体的に「WELL認証」の取得を健康経営の一環として捉えることも効果的です。

オフィスをエシカルにする効果とは?
従業員一人ひとりの「エシカル」への意識を高める。

WELL認証とは、英語でWell Building Standardといい、米国で2014年に発表された建物の空間評価に関する認証のことです。働く人の心身の健康や場の快適性を評価し、一定の水準を超えるオフィスに与えられます。WELL認証の評価指標は、「ウェルビーイング」という概念をもとに設計されており、世界保健機関(WHO)憲章の前文で、「病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義されています。

日本ではWELL認証を取得した企業はまだ少ないといわれていますが、オフィス内の環境整備に力を入れるという点では、すでに取り組んでいる企業が多くあります。具体的には、ソファなどリラックスできるオフィス家具を設けたり、観葉植物を配したりなど、リフレッシュしやすい空間をつくるといった例です。

人生の大半の時間を過ごすオフィスに、エシカルなモノや設備を取り揃える。ウェルビーイングを意識した環境を整備する。こうした取り組みは、従業員の健康、モチベーションや生産性、創造性を高めるだけでなく、従業員一人ひとりのなかに「エシカル」の意識を生み出し、社会へインパクトのあるビジネスを生み出していくことにつながるはずです。

編集後記 ~ 社会とのつながりを考える ~

ファッション誌などで「エシカル」というワードを目にする機会が増えました。エシカルファッション、エシカル消費というと、なんとなくおしゃれに聞こえるし、世の中に良いことをしている感じがしますよね。でも、その意味合いをきちんと理解している人は意外と少ないのかもしれません。

人にも社会にも環境にも「良いこと」を突き詰めて考えていくと、日常のライフスタイルにも変化が出てきそうです。そして、私たちの働き方にも、オフィスという場にも、エシカルの視点が必要だとわかると、働く場をつくる際のアイデアも広がるような気がしました。

「渋谷ソラスタ」にある当社の新本社は、健康経営の推進につながるさまざまな取り組みを行っており、 「WELL認証」の取得を申請中です。また、当社は4年連続で「健康経営優良法人」に認定され、2020年3月には経済産業省が東京証券取引所と共同で選定する「健康経営銘柄2020」にも選ばれています。本社移転をきっかけにして、私自身も、心と体の健康について意識を向ける機会がとても増えました。こうして一人ひとりの意識が変わっていくことが、社会全体の流れを作っていくのだなと感じます。