東急不動産は、緑(植物や自然)が人に与える影響や効果を科学的に検証しました。
さまざまな実験の結果からも、現代のワーカーにとって、
緑は必要不可欠なものであると言えます。
緑のある開放的な屋上テラスで休憩することで、“ねむけ”をはじめとする疲労感(自覚症状)が軽減しました。働き方改革とは、“休み方”改革であるとも考えられます。労働時間や休憩時間の長さという“量”の考え方以上に、緑のある休憩という“質”を取り入れることで、社員の肉体的な活力や健康が高まります。
緑のある開放的な屋上テラスで休憩した後はストレス度が軽減し、疲労感の解消とともに、リフレッシュ効果が見られました。仕事でのストレスは、パフォーマンスを低下させます。休憩中に緑のテラスを利用したり、オフィス空間に観葉植物を置くなどすることで、ミスの軽減や業務の精度向上が図れます。また、心の幸福度が向上することで離職率の軽減にもつながります。
緑のある開放的な屋上テラスで休憩した後は、その後の集中度の上昇が高く、作業生産性も高まる結果が出ました。殺風景な会議室でなく、共用テラスや緑を積極的に取り入れたオフィス空間でのミーティングが、イノベーティブなひらめきを生み、業務のスピードや正確性向上にもつながります。
日比谷パークフロントで行われた、緑をテーマとしたテナント交流イベントでは、参加者から高い評価を得られました。特にガーデニングイベントの評価は95ポイントを超え、参加したほぼ全員が、“かなり満足している”という結果になりました。
テナントに実施した「緑の効果・ビルのよさ」に関する自由回答アンケートでは、“都会なのに緑があふれている”、“リラックス・ヒーリング効果がある”という回答に加え、“リフレッシュできる空間が多い”、“メリハリがあり、ON・OFFを楽しむことができる”といった、働く意欲を高めてくれる効果についての声もありました。
GREEN ACTIONのコンセプトをもとに建てられたオフィスビル日比谷パークフロントで行われた今回の実験は、開放感のある、緑豊かな空間での休憩が、疲労感やストレスの低下をもたらすという結果になりました。これらの内容は、調査の監修・設計時に想定していた以上であり、中でも集中度の上がり方はとても大きく、大変興味深い結果となっています。仕事におけるストレスの軽減や、集中度上昇の意義は大きく、ひらめきなどの創造的な作業へダイレクトに影響し、業務上のミスも減少します。それは、企業の生産性の向上や売上拡大につながるといえるでしょう。
また、働く人ひとり一人への影響を考えた場合、生産効率のアップは、仕事を早く終えることにつながりますので、そこで生まれた余暇を、家族や趣味といったストレスを下げる時間に費やすことができ、精神的な幸福度や満足度の向上が期待できます。加えて、屋外での休憩は、緑による森林効果が期待できるうえ、日光を浴びることでメラトニンが生成され、体内時計が整い、毎日の睡眠によい影響を与えます。休息の取り方が、働き方だけでなく人生まで変える。今回の実験でそのことが実証されたと言えるでしょう。
脳波研究のスペシャリスト
満倉 靖恵
Yasue Mistukura
慶應義塾大学理工学部
システムデザイン工学科 教授・博士(工学・医学)
電通サイエンスジャムCTO
専門領域:生体信号処理、脳波解析、画像意味解析、脳神経科学、精神神経科学領域
信号処理、機械学習、パターン認識、人工知能、統計処理などの技術を用いて、生体信号や音声、画像から必要な情報を抽出する研究に従事。17年以上の年月を重ね、脳波から感性を把握するアルゴリズムを開発。
シャープ株式会社、株式会社ブリヂストン 他多数。