WORKPLACE

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EVIDENCE RESTING AREA

EVIDENCE RESTING AREA

東急不動産は、緑(植物や自然)が人に与える影響や効果を科学的に検証しました。
さまざまな実験の結果からも、現代のワーカーにとって、
緑は必要不可欠なものであると言えます。

緑の効果検証方法

実証実験概要

目的:植物のあるスペースで休憩することによる、休憩後のストレスや知的生産性に与える影響を検証する/対象者:14人(男性 30代 4人/40代 3人、女性 30代 4人/40代 3人)/日時:2018年6月2日(土)/実施場所:日比谷パークフロント(B2 会議室 中・小/屋上テラス)/収集データ:脳波、作業用タスクの回答数や正答率、主観評価/利用機器:感性アナライザ(©電通サイエンスジャム)/詳細:作業用タスク実施後、①<植物のあるスペース>または②<植物のないスペース>で休憩する。休憩後にもう一度作業用タスクを行い、①と②で感性アナライザから得られたストレス値やタスクの作業効率に与える影響に違いがみられるか検証しました。

感性アナライザ概要

慶應義塾大学満倉教授と電通サイエンスジャムが共同で開発した簡易型脳波測定感性評価キットです。今までの脳波計測では不可能だった「いつでも・どこでも・誰でも・簡単に」をリアルタイムに実現しました。今回の検証で「STRESS(ストレス度)」「CONCENTRATION(集中度)」に注目しました。

入居者アンケート

実施期間:2018年7月〜2018年8月/対象:日比谷パークフロントに入居中のオフィステナント/ポイント評価方法:「かなり満足」「やや満足」「やや不満」「かなり不満」の4段階評価。各評価をそれぞれ100点・66点・33点・0点とした加重平均。満点は100pt。

実験フロー

2パターンの休憩スペースそれぞれでの休憩をはさみながら前後に作業タスクを行います。計6回の脳波+自覚症の計測と調査をしました。
※1サイクルにかかる時間は4時間程度を想定。※順序効果などを考慮した対象者の割振りなどにより継続作業による疲労や慣れについては平均化しました。

実験ローテーション

1つの作業タスク部屋と2つの休憩スペースで実施しました。順序効果と時間帯の影響を考慮して14人の被験者を2群にして公平に割り振りプログラムを策定しています。休憩するスペースの「緑無し/緑有り」の順番は、被験者全体で均等になるようにしました。

実験環境

実験結果

GREEN ACTION Ⅰ

はたらく人の
健康を守る

緑のある休憩後の疲労感は、
屋内休憩と比べて1.0ポイント低い。

緑のある開放的な屋上テラスで休憩することで、“ねむけ”をはじめとする疲労感(自覚症状)が軽減しました。働き方改革とは、“休み方”改革であるとも考えられます。労働時間や休憩時間の長さという“量”の考え方以上に、緑のある休憩という“質”を取り入れることで、社員の肉体的な活力や健康が高まります。

GREEN ACTION Ⅱ

はたらく人の
ストレスを軽減する

緑のある休憩後のストレスは、
屋内休憩と比べて6.0ポイント低い。

緑のある開放的な屋上テラスで休憩した後はストレス度が軽減し、疲労感の解消とともに、リフレッシュ効果が見られました。仕事でのストレスは、パフォーマンスを低下させます。休憩中に緑のテラスを利用したり、オフィス空間に観葉植物を置くなどすることで、ミスの軽減や業務の精度向上が図れます。また、心の幸福度が向上することで離職率の軽減にもつながります。

GREEN ACTION Ⅲ

はたらく人の
ひらめきを生み出す

集中度が34.6%アップ。
屋内休憩と比べた回答数は15%高い。

緑のある開放的な屋上テラスで休憩した後は、その後の集中度の上昇が高く、作業生産性も高まる結果が出ました。殺風景な会議室でなく、共用テラスや緑を積極的に取り入れたオフィス空間でのミーティングが、イノベーティブなひらめきを生み、業務のスピードや正確性向上にもつながります。

GREEN ACTION Ⅳ

はたらく人の
絆を育てる

交流イベントでも、
高い満足度を獲得。

日比谷パークフロントで行われた、緑をテーマとしたテナント交流イベントでは、参加者から高い評価を得られました。特にガーデニングイベントの評価は95ポイントを超え、参加したほぼ全員が、“かなり満足している”という結果になりました。

GREEN ACTION Ⅴ

はたらく人の
モチベーションを高める

癒し効果に加え、
働く意欲を高めてくれるとの声が。

テナントに実施した「緑の効果・ビルのよさ」に関する自由回答アンケートでは、“都会なのに緑があふれている”、“リラックス・ヒーリング効果がある”という回答に加え、“リフレッシュできる空間が多い”、“メリハリがあり、ON・OFFを楽しむことができる”といった、働く意欲を高めてくれる効果についての声もありました。

緑ある開放的な空間での休憩。
働き方だけでなく
休み方を考えることが大切です。

GREEN ACTIONのコンセプトをもとに建てられたオフィスビル日比谷パークフロントで行われた今回の実験は、開放感のある、緑豊かな空間での休憩が、疲労感やストレスの低下をもたらすという結果になりました。これらの内容は、調査の監修・設計時に想定していた以上であり、中でも集中度の上がり方はとても大きく、大変興味深い結果となっています。仕事におけるストレスの軽減や、集中度上昇の意義は大きく、ひらめきなどの創造的な作業へダイレクトに影響し、業務上のミスも減少します。それは、企業の生産性の向上や売上拡大につながるといえるでしょう。

また、働く人ひとり一人への影響を考えた場合、生産効率のアップは、仕事を早く終えることにつながりますので、そこで生まれた余暇を、家族や趣味といったストレスを下げる時間に費やすことができ、精神的な幸福度や満足度の向上が期待できます。加えて、屋外での休憩は、緑による森林効果が期待できるうえ、日光を浴びることでメラトニンが生成され、体内時計が整い、毎日の睡眠によい影響を与えます。休息の取り方が、働き方だけでなく人生まで変える。今回の実験でそのことが実証されたと言えるでしょう。

実証実験監修

脳波研究のスペシャリスト

満倉 靖恵

Yasue Mistukura

慶應義塾大学理工学部
システムデザイン工学科 教授・博士(工学・医学)
電通サイエンスジャムCTO

専門領域:生体信号処理、脳波解析、画像意味解析、脳神経科学、精神神経科学領域

【研究内容】

信号処理、機械学習、パターン認識、人工知能、統計処理などの技術を用いて、生体信号や音声、画像から必要な情報を抽出する研究に従事。17年以上の年月を重ね、脳波から感性を把握するアルゴリズムを開発。

【監修実績】

シャープ株式会社、株式会社ブリヂストン 他多数。

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